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「医者」「落語家」「先生」・・・
私の小学校の時の「将来の夢」です。
・野口英世を読み心が震えるほどの感動を覚え「人を救いたい！」と。
・弟子入りまでがとても厳しい世界で、弟子入りした後もさらに厳しい。
しかしその先には万人を笑顔に、そして感動させる職業だと聞いて。

そんな少年も中学へ進み、ご多分に漏れずに見ていたのが「金八先生」
「よし！これだ！先生になろう！」と心に決めた少年。
ところが先生たちの苦労を画面を通して知り、一抹の不安を抱え高校へ。
3年時の担任の先生と出会い、そのひたむきな姿を見て「あぁ、俺はこんないい先生にはなれない。無理だ」と悟るのでした。

その後迎えた卒業式、それを目の前にして父の背中に気づくのでした。「やっぱ蛙の子は蛙か？」

建築学科を卒業し、関西のゼネコンへ就職。ビルやマンションを建てつつ一級建築士を取得するもこう、なんか、「納得した充実感」を味わえない毎日に、これでいいのか？という疑問が生じ始めたころ。小さなマンションの主任に命じられ赴任しました。
工事完了後、半年ほどして常務に呼び出されてこう言われました。
「田中君、今度の総会で優良社員表彰されることになったから、現場の事故など特に気を付けるように。」と。理由を聞くとびっくりでした。先のマンションの現場の隣接する土地の地主さん、お住まいは現場の斜め前で毎朝顔を合わし挨拶させていただいていたのですが「毎日の掃除、水撒き、車の誘導に現場の管理、トイレの掃除…。こんな監督さんのいる会社なら間違いない！うちの敷地にもマンションを建てようと思うのだが、ぜひお宅に特命でお願いしたい。」とご用命をいただいたのだとか。

その時にふと感じたのがそう、建て主さんとの触れ合い？ありがとうと言われる喜び、です。

ちょうどそのころ、時を少しずらして父と母が体調を崩し入院。地元にいないがゆえに妹にすべての負担をかけてしまい、自分としては何もしてあげられないジレンマにまとわりつかれる毎日でした。携帯電話などまだまだなく、ポケットベルの時代ですからね。連絡さえなかなかとれない時代でした。

悩みつつ新たな現場に配属され、他社の上司と工事を進めるJV形式の現場でふと所長に悩みを打ち明けたところ「田中君、その人の性格は生まれつきのものだから変わらないけど、人格はその人の立場が作るんだよ。心配はいらない！前を向いて、君は自分を信じて思うようにすすめ！」とアドバイスをいただきUターンを決意しました。

ちょうど私が30歳、長男長女が生まれる年のことでした。

その頃の新田中は地盤沈下で傾いた家をジャッキアップで家揚げし、新しい基礎を作って補強、そして家を仕上げていくという特殊な鉱害復旧工事、今でいうリノベーションをメインにしていました。

とにかく施主さんが目の前にいる。言葉を交わし思いを伝え施主さんの思いを形にしていく喜びと「ありがとう」という言葉をいただける喜び。その一言をいただけるように日々頑張れる私です。